この点で、AI技術が重要な役割を果たすと考えられます。AIは複雑なパターンを識別し、大量のデータから迅速に有用な情報を抽出する能力を持っています。これらの技術を活用して、生物学の新たな地平を開拓することを期待しています。
その一環として、基礎生物学研究所では、アイデアコンテスト(Ideathon)を開催します。対象となるデータセットは、コミュニティ科学由来の多量の生物画像です。これらの画像からどのような洞察を得られるか、また、その洞察をどのように得るかが重要です。あなたの素晴らしいアイデアが、次回開催予定の実装コンテスト(Hackathon)のテーマとなるかもしれません。科学はもはや専門家だけのものではなく、広いコミュニティに開かれたフィールドです。アイデアは国内外から広く募集します。私たちと共に、未来の生物学を形作る旅に参加しませんか?
応募するコンテストを選んでください(こども or 一般)
あなたは未来の科学者かもしれません!その未来を基礎生物学研究所は応援します。
上の写真を見てください。このマガモの写真からたくさんの情報が見つかるでしょう。頭が緑だから、たぶんオスだろう。雪が積もっているので、冬かな。このカモの足にはバンドがついている。これは人が鳥の行き先を記録するためにつけたものに違いない!この写真がシェアされたiNaturalist (https://www.inaturalist.org/) のウェブサイトに行けば、この写真がいつどこで撮られたのかまでわかります(2024年2月11日午前11時1分、アメリカのブランズウィックにて!)。
写真には常に、そこに映っている以上のものがあるのです。データベースにあるのは1枚の写真だけではない。2枚の写真を見比べて何がわかるだろうか?10枚?いや、そこには1億7400万枚もの写真があるではないか!
もしあなたが超強力なコンピュータを持つ科学者チームのリーダーだったら、iNaturalistのデータベースにあるすべての写真を使って何をするだろうか?データベースには新種の生物が見つかるかもしれません。あるいは大量の写真の中に種の進化の秘密が隠されているかもしれません。下のフォームを使って、あなたのアイデアを基礎生物学研究所に送ってください。最も優れたアイデアには賞が授与され、プロの科学者による研究テーマになるかもしれません。
今日からあなたもコミュニティサイエンティスト!!
あなたのアイデアを800字以内で説明してください。文章は以下のフォームからご応募ください。そのアイデアを面白いと思う理由、その結果から世界が何を学ぶと思うか、その実現に必要だと思う方法を教えてください。また、当選された場合、ご連絡のためにお名前とメールアドレスが必要となります。
2024年7月31日(水曜日)
アイデアは、基礎生物学研究所の選考チームによって審査されます。選ばれたアイデアは、研究プロジェクトとして推進される可能性があります。
優れたアイデアを提案した個人は基礎生物学研究所によって表彰されます。研究プロジェクトへの参加や研究成果の発表会に招待されることもあります。最優秀賞には科学実験キットがプレゼントされます。
実際にお送りする賞品は都合により異なる場合があります。ご了承ください。
画像は各所有者の承諾を得て使用しています。
すべてのスケールで自然を観察しよう!
私たちの周りは、目を見張る多様性と複雑さを持つ生物で満ち溢れています。色鮮やかな花々、空高く舞う鳥たち、深海の未知の生命体に至るまで、自然界は無数の生命によって構成されており、その一つひとつが私たちに無限の疑問と驚異をもたらします。生物が持つ形態の美しさ、生き残るための創造的な戦略、種間で織りなす複雑な関係は、常に私たちの好奇心をかき立て、生命の神秘を探求する旅へと誘います。
この深遠な生命の魅力をより深く探求し、その秘密を解き明かすために、基礎生物学研究所では様々な革新的研究を推進しています。生物の発生、形態、進化、生態系内の相互作用といった、生命の深い謎を解明することが、私たちの日々の研究目標です。しかし、現代の研究機器から得られる情報量の膨大さを考えると、この探求には多彩な視点と創造的なアイデアが不可欠です。そこで、一般の皆様からのアイデアを広く募集します。
今回のアイデアコンテストでは、インターネット上で公開されている生物画像とそのメタデータを対象します。例えば、700万人以上のボランティアが投稿した1億7,400万枚の生物画像とそのメタデータを収集したオープンサイエンスプラットフォーム、iNaturalistのデータベース(https://www.inaturalist.org/)。これら圧倒的な量の魅力的な生物画像を使用して、自然界に隠されたどのような秘密を解明できるでしょうか?生物の写真には様々な情報が含まれていますが、それらから何を読み取れるでしょうか。データベースには新種の生物が見つかるかもしれません。あるいは大量の写真の中に種の進化の秘密が隠されているかもしれません。皆様の創造的で斬新なアイデアをお寄せください。今回はアイデアを募集する第1段階であり、第2段階ではアイデアの実装コンテストも予定しています。あなたのアイデアが実現し、研究テーマとして具現化するかもしれません。
科学はもはや専門家だけのものではありません。もっとオープンなものであるべきです。コミュニティサイエンスは、科学者と市民がコラボすることで、市民も科学的な取組に参加することです!
私たちと一緒に、生命の不思議を解き明かす旅に出ませんか?皆様の創造性と好奇心が、新たな科学的発見へと繋がるかもしれません。興味をお持ちの方は、この機会にぜひご応募ください。皆様の一つ一つのアイデアが、未知の領域を解明し、生物学の新しい地平を切り開く鍵となるかもしれません。私たちは、多様なバックグラウンドを持つ皆様の参加を心より歓迎します。共に、生命の深淵を探り、その秘密を明らかにしましょう。
皆様からの創造的で革新的なアイデアをお待ちしております。
あなたのアイデアを800字以内で概説し、以下のフォームからご応募ください。そのアイデアを面白いと思う理由、その結果から世界が何を学ぶと思うか、その実現に必要だと思う方法を教えてください。タイトルはできるだけアイデアの内容が分かるように具体的にしてください。また、当選された場合、ご連絡のためにお名前とメールアドレスが必要となります。
2024年7月31日(水曜日)
アイデアは、基礎生物学研究所の選考チームによって慎重に審査されます。採用されたアイデアは、研究プロジェクトとして推進される可能性があります。さらに、優れたアイデアを提案した個人は基礎生物学研究所によって表彰され、最優秀賞にはiPad Proがプレゼントされます。また研究プロジェクトへの参加や研究成果の発表会に招待されることもあります。
上の専門家による選考プロセスとは独立して、アイデアは一般投票にかけられ、勝者には「Public's Choice」の賞状が授与されます。
なお、本コンテストは国際コンテストとして実施されます。英文での投稿も可能です。英文の場合の字数制限は、300 wordsです。日本語と英文の投稿は一緒に審査されます。
応募者は、自身のオリジナルかつ他の同様の募集に応募していないアイデアをご応募下さい。
参加者はアイデアを提出する際、CC BYライセンスに同意する必要があります。このライセンスにより、再利用者は、クリエイターへの帰属表示がある限り、あらゆる媒体やフォーマットで素材を配布、リミックス、翻案、構築することができます。
応募いただいた資料等は、そのまま、あるいは要約等して公表等させていただくことがあります。
入賞した場合でも、応募アイデアの実装を確約するものではありません。また、応募アイデアは、基礎生物学研究所が適宜その内容の一部を改変して実装する場合があります。
応募者は、応募アイデアが入賞した場合、基礎生物学研究所による国内外におけるアイデアの実装、または改変した上での実装について、承諾し、応募アイデアに関する知的財産権その他の権利を行使しないものとします。
科学の進歩は、一人ひとりの小さなアイデアから始まります。私たちと一緒に生命の謎に迫り、新たな発見の旅に出かけましょう!
優勝者には iPad Pro 2024 (13 inch with Wi-Fi + Cellular, pen not included)が送られます。都合により賞品の仕様変更を行うことがあります。ご了承ください。
(科学者へのメッセージ)
私たち研究者の多くは、自然界への驚きから科学者になりました。身の回りにある花や鳥、木々の美しさだけでは満足できず、自然の奇妙さや不気味さ、説明のつかない複雑さに目を向け、それを探求することにしたのです。しかし、生物学の分野では、私たちの時間のほとんどは、誰もが科学を好きになった理由を忘れてしまうような、繰り返しの多い、気の遠くなるような作業に費やされています。
顕微鏡画像のセグメンテーションとラベリング、塩基配列(DNA/RNAデータ、タンパク質)の分類、ビデオデータの解析・・・。今のところ、このような膨大な作業から解放された科学の夢は、まだ空想にすぎません。というのも、生物学はさまざまな要因(データ共有のための統一フォーマットの欠如など)のせいで、AIブームの恩恵をまだ十分に享受できていないからです。この分野をスピードアップさせ、私たちの職業生活に驚きの感覚を取り戻すのは、私たちの責任です。
AI研究は、その驚くべき進歩の多くをオープンサイエンスの文化に依存しています。参入障壁は他の多くの分野よりもはるかに低く、コードの多くは、アイデアとインターネット接続さえあれば誰でも無料で実行し、調整し、再共有することができます。CASPコンテストはAlphaFoldを生み出しましたし、さらにさかのぼれば、ディープニューラルネットワークが初めて公に成功したのはImageNet分類コンテストでした。
生物学をベースとした他のコンテストでも、統一フォーマットの公開データセットを作成することの利点が、その膨大な労力に見合うものであることを示すことさえできれば、最近のAIの進歩を生物学研究のために活用することができるでしょう。
それこそが、基礎生物学研究所の「コミュニティ科学コンテスト」の目標です。このコンテストは、公開アノテーション画像データベースと人々の知恵を活用し、生物学研究の魅力的な謎にまつわる関心を喚起するイベントです。この何億枚もの写真とそのメタデータから隠された情報を発掘する方法について、アマチュアからプロフェッショナルまで、あなたのアイデアを共有してください。世界中の動植物や菌類の様々な魅力的な種から得られたこのような膨大なデータを使ってみるのです。1枚の写真だけではできないことは何でしょうか?
コンテストの第1段階では、最も優れたアイデアが選ばれ、iPad Proから賞状まで、さまざまな賞品が授与されます。コンテストの第2段階では、第1段階で選ばれたアイデアを実行に移し、その結果を発表する研究チームを募り、一般の人々を巻き込みながら、次世代の科学者の自主的な思考を促します。
このコンテストのコンセプトに共感して頂き、周囲の研究者の方に周知していただき、そして、ぜひあなたも参加してみてください!
本サイトで使用している写真はすべてiNaturalistからの転載です。著作権はすべて写真の作者(peterselmayr, Katja Schulz, Ryosuke Kuwahara, Norio Nomura)に帰属しています。各写真のURLは以下の通りです。
https://www.inaturalist.org/observations/206883514(ニホンヤモリ)
https://www.inaturalist.org/observations/199061237(マガモ)
https://www.inaturalist.org/observations/171111900(ニホンヤモリ)
https://www.inaturalist.org/observations/152882035(ハルジオン)
https://www.inaturalist.org/photos/5669923(ナナツボシテントウ)
https://www.inaturalist.org/observations/202216538(ベニシジミ)
https://www.inaturalist.org/observations/147086421(オオイヌノフグリ)